意志力が増減する 2
昨日のブログで「意志力は筋肉に似ている」ということをお伝えしました。
確かに、立ちっぱなしの仕事をしていると、仕事の終わりころには足が疲れてしまいます。
筋肉に似ていますね。
ということは、「筋肉と同じようにエネルギー不足になっているから?」と考えた心理学者がいました。
マシュー・ゲイリオットという心理学者です。こんな実験をしたそうです。
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実験
・気が散るものを無視する、感情を抑制するなどの自己コントロー
ルをする実験の前後に血糖値を測定
⇩
・実験後の血糖値の下がり方が大きいほど次の実験の自己コント
ロールの成績が下がっていた
その後
・被検者の半分には砂糖で甘くしたレモネード=糖分補給
・残りの半分には人工甘味料で甘くしたレモネード=糖分なし
を与える
砂糖で甘くしたレモネードを飲んだ被検者
⇩
自己コントロールの向上がみられた
人工甘味料で甘くしたレモネードを飲んだ被検者
⇩
自己コントロールは低下する一方だった
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ケリー氏の著書
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で、
血糖値が低いと、難しいテストを投げ出したり、機嫌が悪くなって他人に当たり散らしたりするなど、様々な意志力の問題が生じることがわかりました。
現在、トルコのジルべ大学で教授を務めるゲイリオットの研究によれば、血糖値の低い人は固定観念にとらわれる傾向があり、また、チャリティーに寄付をしたり他人を助けたりすることがあまりないことがわかりました。
と述べています。
「なるほどそれなら、意志力が必要な状況の時、血糖値をあげてやればいい。キャンディやチョコを持ち歩いて、休憩時間には砂糖入りのコーヒーを摂ろう!」
とメタボの人でも喜びそうな解答が導き出されました。
「意志力は糖分によって決まる」と。
何とも、うれしい解答です。甘いものを嫌いな人は少ないはずで、誰もが口にすれば満足感をもらえます。ただし、体重や体脂肪率は上がっていくことになりますが…。
血糖値が集中力を上げ下げしたりすることは、私もよくわかっています。おなかが空いて手が震えるくらい血糖値が下がっているときに「さあ、今から運動しよう」という気になれないのを幾度も経験しました。
対処法として私は、30年ほど前のフィットネスクラブに勤務していた頃、血糖値が下がっているのに、今からプールで水中エアロビクスのレッスンが始まる前に、レッスン前に小さなおにぎりを食べていました。
人によっては、胃がもたれる人もいると思いますが、私の場合は解決法の一つでした。気温30度のプールサイドで水中にいる会員さんの動きをインストラクターとしてリードしていきます。
浮力がある水中の動きを、硬いタイルのプールサイドで行うのは、全身汗だくで、特に下半身が疲労困憊します。今思えば重労働でした。
それでも、集中力を切らさず、笑顔を絶やさず、40分ほど指示を出しながら楽しんで動いてもらうことができていました。
「糖分様様」です。
「糖分は大事だ」と、この30年思い続けてきましたが、ここに鋭いメスを入れた事実を見せつけられました。
ご紹介した本の中に
「自己コントロールを行う間に、正確にはどれだけのエネルギーを消耗しているか」を調べた人がいるのです。
確かに、
・糖分が脳の唯一のエネルギー
というのは知っていて、
・糖を摂るとやる気がわいてくる
と言うのも経験上知っていたわけですが、
実際、脳がどのくらい糖を消費しているか、については考えたことがありませんでした。また、まったく気が付きもしないこと焦点を当てることができる科学者の視点に強く興味を惹かれ読み進みました。
その人は、
ペンシルベニア大学の心理学者ロバート・カーズバン氏です。
このエネルギー量を調べたことから意外なことがわかってくるのですが、この続きはまた明日のブログで。