運動の「依存症」 3
フライパンに乗るまではうまくいった紫山芋のお好み焼き
運動の依存症になるには、最低6週間必要ということがわかりました。
人によっては、もっと時間がかかることもあるでしょう。ケリー氏の著書
では、それまで運動嫌いだった女性が、40歳でジョギングとサイクリングに夢中になった例が紹介されています。
30年くらいかけて運動の依存症になる例もあるみたいです。
運動嫌いの方は、「そんなこともあるんだ」くらいの軽い気持ちでこのブログを読んでいただけたら嬉しいです。
もくじ
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脳が自分で作った化学物質を自分自身で受け取り気持ちよくなる、ランナーズハイ。ランナーズハイを週に何回も起こすことを、
最低6週間続けると(もちろんもっと長くかかる人もいるはずです)脳の中毒の分子スイッチが入ることも昨日までのブログでわかりました。本当に薬物と同じ原理で、快感を得ているようです。
ですが、中毒=依存症になるには、運動の場合6週間というたくさんの時間をかける必要があります。ここが薬物の依存症と大きく異なる点です。
脳内で起こっていることも大きく違うようです。
薬物の依存症の場合
脳の中では破壊的なダメージが起きるようです。
薬物の乱用によって、異常に大量に快楽物質が分泌されると、脳は脳内化学物質のバランスを取ろうとします。
「あまりに気分をよくする物質が増えているので、気分を抑えるようにしよう」と
報酬系(手に入れたい、食べたいといった期待するときに活性化される脳内の場所)とは反対の反報酬系(やる気が出ない、気分が落ち込む、反社会的になる、日常の喜びが感じられない)という場所を活性化させるというのです。
そして、薬物の頻繁な使用によって異常な量の脳内化学物質が頻繁に分泌され続けると、反報酬系がしょっちゅう活性化されることになります。それが続くと、薬物を使用していない時でも反報酬系の活性化のスイッチが入りっぱなしになってしまいます。
もう一つ、薬物の頻繁な使用によって
が起きて、反報酬系が活性化されたときと同じように、やる気が出ない、気分が落ち込む、反社会的になる、日常の喜びが感じられなくなるとのこと。
薬物の依存症(=中毒)は
薬物の使用時の高揚感→薬物がなくなったときの気分の落ち込み
という2面性しか持たない人格になってしまうようです。「禁断症状」というのはこの気分の落ち込みを何とかしようともがく状態を指すのでしょうね。怖いですね。
運動の依存症の場合
では運動の場合はどうでしょう。
運動によって長期にわたって頻繁に脳内の化学物質を分泌させた場合はどうなるでしょう。
運動によって脳内に分泌される快楽物質は、脳内で、薬物ほど異状に急増することはないようです。
……………。コカインやヘロインなどの薬物は脳の報酬系の機能を損なうが、運動は報酬系を刺激するだけであり、まったく異なる長期適応が起こる。定期的な運動をした場合、脳の報酬系の活動は抑制されるどころか、むしろ促進されるのだ。そして薬物の場合とは正反対に、ドーパミンの血中濃度およびドーパミンの受容体の利用率が高くなる。つまり、運動の場合は快楽を感じる力がなくなるどころか、むしろ高まるのだ。
運動によって、長期的に、少しずつ脳内の快楽物質を分泌さていくとと、どんどん気持ちよさが増していくということですね。最速6週間で気持ちよさがピーク達すると考えてもよさそうです。
また、この本の中には記述がありませんが、運動によって脳内の快楽物質が増えても、反報酬系のスイッチはオンにならないか、なったとしても、すぐオフになるのでしょう。
いいね!運動の依存症
運動の依存症(=長期的に脳内の快楽物質を分泌させていく)になると脳内の報酬系というところが敏感になっていきます。
報酬系が敏感になるということは、少しの運動でも気持ちよくなるということだし、少し強めの運動をすれば気持ちよさが増すということになります。
なにより、
食べ物、美しいものへの興味、また、人とのつながりなど、薬物以外の一般的な喜びに敏感になっていくといいます。
いいですね。
実験では
動物実験でも、人間でも、運動が、
・大麻
・ニコチン
・アルコール
・モルヒネ
などの乱用や渇望を減退させることがわかっているようです。
薬物乱用の人たちの治療で、運動を3回/週行うプログラムに参加した人たちの結果では8週間後に、脳の報酬系でドーパミン受容体の利用率が増加していることがわかったそうです。
運動を習慣化できている人は、「運動をして当たり前」といった感覚でいるかもしれませんが、見方を変えると、
・人間らしい感情や人とのつながりを維持促進する
・薬物、タバコ、アルコール依存から身を守ってくれている
習慣を持っている、ということになりはしないでしょうか。
いいですね、運動習慣。
これから始めてみようと思っている方、
もうすでに運動習慣が身についている方、
運動はカラダを健康にするばかりか心も豊かにしてくれるようです。
コロナで運動不足になりがちですが、withコロナで工夫して運動習慣を持ち続けていきましょう。
今日はこの辺りまで。