Hayama Ranのブログ

読んでメリハリボディをつくる

運動の「依存症」1

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甘納豆入り紫山芋かるかん(自作)

運動しないといらいらしたり、不安になったりすることがありますか?今日はケリー・マクゴニガル氏の著書

 

 にあった、運動依存に関することを書いてみたいと思います。

 

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運動依存に関する初めての科学論文

1960年代の終わりころ、フレデリック・べークランド氏(精神科医 ニューヨーク市ブルックリン)に定期的に運動する人の睡眠について研究を行いたいと考えていました。

 

それ以前の自身の研究で

「運動は安眠に役立つ」

ことがわかったので、今度は

「運動をやめた場合、安眠が妨げられるか検証」

したかったようです。

……………………………………………………………

実験

・定期的に運動しているを対象

・30日間運動を禁止する

     ⇩

      結果

・よく眠れなくなった

・(運動禁止による)精神的苦痛を訴えた

……………………………………………………………

フレデリック氏の予想通りの結果が得られたわけです。

しかし、この実験の参加者を募集する際に問題が発生しました。

 

30日間、運動を禁止してくれる人を見つけることが大変だったようです。なかなかいないため謝金を通常より多くしたにもかかわらず、

「多くの候補者、特に毎日運動している人たちは、どれだけお金をくれると言われても運動はやめないと言い張った」(フレデリック氏談)

というのです。

 

これが、運動依存に関する初めての科学論文とされていて、その後の研究で、

毎日運動している人は

 ・1日でも運動を休むと、不安や苛立ちを感じやすくなる

 ・3日運動しなかった場合、うつの症状が表れる

 ・1週間になると、深刻な気分障害、不眠などの症状が出る

ことがわかったようです。

「良く運動して疲れたな」と思った日はぐっすり眠れ、翌朝体の疲れはあっても頭がすっきりしているのは、合点がいきますね。

 

薬物に匹敵するほど夢中にさせることがある

運動を熱心にする人のことを揶揄する「依存症」「中毒」という言い方は(私は使ったことはありませんが…)、ジムで仕事をしているときには時々聞いたことがありました。研究者の間でも使われているようです。

 

依存症(アルコール、麻薬など)と共通の症状が実際に起きているようです。

 

例えば

アルコール依存症の人は

 ・お酒を見るとソワソワとして落ち着かない

 

■毎日運動している人

 ・トレーニングに関するものに無意識に注意が向いてしまう

   シューズ、ウェアなど

 また、神経画像検査では

 ・トレーニングしている人物の画像を見るだけで、欲求をつかさど

  る脳内神経回路が活性化する

         | |

 ・喫煙者にタバコを見せたときの反応と同じ

 

また、心理的依存の症状が出ている人(割合は少ないようです)は、次のような設問

  • 運動は私の人生で最も大切だ
  • 私の運動量のことで、家族やパートナーともめたことがある

に対して

「はい」と答えると言います。

 

■ある研究事例

  • 46歳の長距離女性ランナーが足首の骨折を2年間放置したまま走っていた
  • 理由は、「骨折が治るまで走れないのが嫌だった」

 

どうも本当に依存症、中毒症状があり、薬物同様の「夢中になる」状況が生まれているようです。

さらに、運動量が増えれば快感が増すこともよく似ているようです。

 

薬物(麻薬など)と一緒⁉

ただ、運動愛好家の人には健康や生活に支障をきたすほど依存になっている人はいないようです。

薬物依存の人と決定的に違うのは、運動愛好家の人たちが自分の好きな運動に対して情熱を込めて語る時だとケリー氏は述べています。

また、

 運動が薬だとすれば、いちばんよく似ているのは抗うつ剤だろう。私自身を含め、運動に夢中になる人たちは、運動の中毒的な側面が好きなのではない。運動がもたらす脳の作用によって、運動と望ましい付き合い方ができるようになるのがうれしいのだ。

とも述べています。

 

運動依存症(中毒)と薬物の違い

■乱用薬物の場合

 乱用薬物の摂取

   ⇩

 エンドルフィン、セロトニンノルアドレナリンなど、高揚感をもたらす脳内化学物質が増加

   ⇩

 慢性的な薬物摂取

   ⇩

  中毒の分子スイッチがオンになる

        ⇩

     薬物に対する反応性が高まる

   ⇩

  脳の報酬系の機能を損なう

   ⇩

  薬物に対する反応性が高くなった脳細胞は、他のものに対しての反

     応性が低くなってしまう

     (薬物以外の物への興味が低くなってしまう)

        ⇩

 自分が中毒になった物質を何よりも欲しがり、何を犠牲にしてもそ

    れを手に入れようとし、手に入らない場合は、離脱症状に苦しむ

 

■いわゆる「運動依存」「運動中毒」の場合

 定期的な運動、または毎日の運動

   ⇩

 ドーパミンノルアドレナリン、内因性カンナビノイド、エンドル

    フィンなどの脳内化学物質が増加

   ⇩

 習慣化された運動

   ⇩ 

 中毒の分子スイッチがオンになる

   ⇩

 脳の報酬系を刺激するだけ

   ⇩

 (定期的に運動をすると)脳の報酬系の活動は促進される

   ⇩

 快感を感じる力が高まる

   ⇩

 食や美や人とのつながりなど、薬物以外の一般的な喜びに対して敏感に反応するようになる

 

運動による「依存症」「中毒」の後半の部分は何とも素敵です。

青字の中毒の分子スイッチがオンになるところでは過程がずいぶん違うようですが、運動によって、一般的な喜びに対して敏感になるというところは何とも素敵です。

 

運動は、良い意味で中毒にならないと習慣化されませんので極端な場合を除いて「中毒」になった方が肉体的にも精神的にもよいと私は思っています。

 

この本に、運動中毒になるコツの記述があります。

知りたいですか?

 

続きはまた明日のブログで。