幼児とストレス
本日も、
ケリー・マクゴニガル私の著書
を感想を交えて書いていきたいと思います。
さて、前回のブログでは、
ストレスの極端な事例を怖がり、軽度のストレスも過酷なストレスと同じように悪影響があると思い込むと、思わぬ行動に出ることがわかりました。
特に妊娠中の女性が「アルコールを摂取してストレス解消する」と行動したのは、「アルコールの害よりストレスの害の方がカラダに悪い」と思い込んでいたからでした。妊娠中のアルコール摂取は生まれてくる赤ん坊に一生影響が及ぶ可能性があり、ストレスを正しく理解することの重要性を感じました。
それでは、生まれてきた子供に対してのストレスはどのような影響があるでしょうか。
もくじ
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スタンフォード大学での実験
スタンフォード大学の生物心理学者カレン・パーカー氏は幼児期のストレスがもたらす影響について、研究を行っています。
実際に幼児にも実験を行っていると思われますが、残念ながら幼児の実験結果は紹介してありません。リスザルでの実験結果が紹介してありますので紹介します。
実験
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目的 幼児期のストレスは情緒不安定になるという予想の検証
- 子ザルを使って実験
- 子ザルにストレスを与えるため、1日1時間は母ザルから引き放し、一人でケージに入れる
- 期間=不明(記述がありませんでした)
⇩結果
幼児期にストレスを経験した子ザルたちは、過保護に育てられた子ザルたちに比べて
- 物おじしない性格になった
- 新しい場所に連れていかれたも積極的に探検した
- 見たことのないものにも強い興味を示した
- 何か問題を与えられてもすぐに解いた
青年期(人間でいえばティーンエイジャー)になると、幼児期にストレスを経験したサルたちは
- 強い自制心を示した
- これらの特徴は、おとな(のサル)になっても変わらなかった
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サルの実験ながら、ネズミで行ったような過酷な実験とは違い、「この実験は、一般的な幼児期のストレスについての優れた参考事例になる」とケリー氏はこの本の中で述べています。
リスザルの実験ではありますが、実験の内容からして想像すると、保育所や幼稚園、託児所などは、強い大人になるためのとても良いシステムだと思えてきました。
脳への影響
パーカー氏の研究チームは、幼児期のストレスによって、脳に変化が表れるかを調べました。その結果、
- 脳の前頭前皮質が大きく発達していることがわかった
そうです。ケリー氏は、この本の中で次のように述べています。
幼児期のストレスは、前頭前皮質のなかでも、特に恐怖反応を抑え、衝動制御を高め、やる気を強める機能をつかさどる領域を増大させます。パーカーをはじめとする科学者たちは、人間の場合も同様に、幼児期のストレスによって脳の(ストレスに対する)レジリエンスは高くなるはずだと考えています。そして最も重要なことは、これはめったにない現象でもなければ極めて稀な結果でもなく、脳がストレスに適応しようとする自然な働きらしいのです。
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しかし、これから見ていくとおり、私たちが経験するストレスは、そこまでひどい場合はめったにないはずです。どんなに苦しい状況でも、人間には希望を見つけ、よく考えて選択し、自分なりに意味を見出す能力が備わっています。わたしたちがストレスを経験することで強くなり、成長し、レジリエンスを鍛えることができるのは、そういうわけなのです。
極端な言い方をすれば、幼児期の発達中の脳には、ある程度ストレスがあった方が脳の発達を促進する、と言えそうですね。
「小学生の子供を田舎まで飛行機や鉄道、バスを使って帰省させる」といった経験をさせる親の話を聞いたことがありました。
そんな経験をした子供たちは、きっと大人になって、リーダーシップを取ったり、自制心が強かったり、いろいろな状況判断ができる大人になったのではないでしょうか。
「幼児期のストレスは子供にとって良くない」と何となく思っていましたが、かえって将来的に人間性を高めるようなプラスの影響がある可能性が高いことが分かりました。
そのほかにも、まだ、ストレスが人間性に及ぼす効果が紹介してあります。続きは、また次のブログで。