イントロダクション 1
ケリー・マクゴニガル氏の著書
のイントロダクションで重要なことをたくさん述べています。
一昨日に続いて今日もご紹介します。
もくじ
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「ストレスは有害だ」とこれまで通り訴え続けるのかケリー氏は迷ったといいます。
理由を2つ挙げています。
1つは「物事の考え方が人の寿命に影響する」という研究結果
もう一つは「伝えたいことが裏目に出る事例」
です。
物事の考え方が人の寿命に影響する研究結果
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イエール大学の研究
- 中年の男女を20年にわたって調査
⇩結果
- 中年期に年齢を重ねることをポジティブにとらえていた人たちはネガティブにとらえていた人たちよりも平均寿命が7.6年長かった
⇧比較
- 運動を欠かさない
- タバコを吸わない
- 血圧、コレステロール値も正常
などの健康維持を努めても、そのような節制をしない人との平均寿命との差は4年未満
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信用に関するデューク大学の研究
- 55歳以上の成人を15年かけて調査
⇩結果
- 「人を信用できる」と思っていた人の60%は15年後の研究終了時に生存していた
- 「人は信用できない」と思っていた人たちの60%は研究終了時にはなくなっていた
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これらのことがストレスにも当てはまるのか、ストレスとどう関連するのかで確信が持てなかったようです。
伝えたいことが裏目に出る事例
また、健康増進に役立つと思われていた方法が裏目になった例から、ケリー氏本人が発していた「ストレスは命取りになる」という警告がかえって逆効果だったかもしれない、と思い始めたようです。
タバコの警告表示
タバコの広告表示をみたことがありますか?
いま日本では、諸外国同様、法律でタバコの箱または包装紙の表面に「タバコには害がある」ことの表示が義務付けられています。
当然、がんなどの病気の予防による国民の健康増進、合わせて国民医療費の削減が目的です。
ケリー氏は実際に医師と話す機会があると次のように質問するそうです。
「タバコの包装に警告表示の画像を載せるのは効果があると思いますか?」
という質問です。
さて、あなたはどう答えますか?「はい」ですか「いいえ」でしょうか。
ケリー氏の質問に対し、多くの医師の方は
- 警告表示の画像を見た喫煙者は、タバコを吸いたい欲求が収まって、禁煙したくなるだろう
と答えるそうです。
ところが、ケリー氏は以下のように述べています。
…、警告表示は逆効果をもたらす場合が多いことが、研究によって明らかになっています。特にショッキングな恐ろしい画像(病院のベッドで死にかけている肺がん患者の画像など)を見せられたりすると、喫煙者はかえって猛烈にタバコを吸いたくなってしまうのです。
その理由とは?画像を見て恐怖に襲われたからです。不安な気持ちを落ち着かせるために、タバコを吸うよりいい方法があるでしょうか?恐怖を感じれば禁煙につながる行動をとるはず、という医師たちの予想に反して、喫煙者はただ恐怖から逃れようとするだけだったのです。
20年くらい前に半年ほどタバコを継続して吸っていたことがありました。当時、タバコのパッケージに警告表示があったかどうか覚えていませんが、逆効果の方が大きいとは知りませんでした。
単純に考えると、警告しているわけですから、警告した内容が有効に喫煙者に伝わり、喫煙量が少なくなったり、禁煙する人が増えそうな気がします。現実はそうではないようですね。おそらくたばこメーカーはこのことを良く知って警告文を載せていると思われます。
恥をかくと自己破壊的になる例
同様に、不健康な生活習慣の人に恥をかかせる実験でもタバコと同じような結果が出ています。
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実験
- カリフォルニア大学サンタバーバラでの実験
- 肥満の女性たちに「ニューヨークタイムズ」の記事を読んでもらう
- 第1グループは「肥満の従業員らに対し、雇用主による差別待遇が始まっている」を読んでもらう
- 第2グループは別の職場問題に関する記事を読んでもらう
⇩結果(記事を読んだ後食べ物を摂る実験)
- 第1グループの女性は、今度こそ減量すると誓っていたにもかかわらず第2グループの2倍のカロリーのジャンクフードを食べてしまった
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恐怖、不名誉、自己批判、恥-そのようなネガティブな感情を人びとに抱かせれば、健康状態を改善するための強力な動機付けになるだろうと、多くの医療従事者は考えています。ところが科学的な実験を行ってみると、ネガティブなメッセージを受け取った人たちは医療従事者が変えたいと思っていた、まさにその問題行動に走ってしまうのです。
とケリー氏は述べています。
「人生を変える教室」にも出てきましたが、ダイエット時に好きな食べ物を「禁止」とすると、余計に食べたくなってしまうのと一緒ですね。「ジャンクフードは食べてはいけない」とは言ってはいないものの、記事によって遠回しに伝えているわけです。
これらの例を見ると、「ストレスは危険だ」「ストレスは体に悪い」と言われ続けると、
「今ストレスを受けている。体に悪いんだよね。」と思いつつも、余計にストレスになることをしそうです。
さて、ケリー氏がこのあと、ストレスをどうとらえるべきか示してくれるのですが、続きはまた、次のブログで。