Hayama Ranのブログ

読んでメリハリボディをつくる

マイオカイン 2

昨日ブログで書いたユーコン・アークティック・ウルトラは超がつく過酷なレース、英文では

・snow mountainbike

・cross country ski

・by foot

の中からどのカテゴリーで参加するか選べるということですが、文中にrunningという言葉がありません。

おそらく雪と氷の中のレースで、「走る」という言葉は適切ではないのでしょう。

 

YouTubeで検索すると、ありました。

Yukon Arctic Ultraで検索すると出てきます。

どんなレースか知りたい方は

www.youtube.com

をご覧ください。(※日本語字幕なし)

見たら出場たくなると思います。

動画の中では”Foot Racer"という言葉で紹介してあるカテゴリーの100マイル(160km)が最短の距離です。

 

もくじ

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さて、このユーコン・アークティック・ウルトラに関する研究が、ケリー氏の著書

 

 に紹介してあります。

 

参加したアスリートたちの追跡調査を行った2015年ベルリン宇宙医学極限環境センターの研究があります。人体にとって極限状態の環境にどのように対応しているのかを調べるためです。

 

イリシン

参加者たちの血液中のホルモンを分析したところ、イリシンというホルモンの数値が際立って高いことが分かりました。

イリシンの効用

  • 体脂肪を燃焼させる代謝機能を持つ
  • 脳への強力な作用:

   報酬系の活性化

   天然の抗うつ剤効果

  ※イリシンの血中濃度が低いと、うつ病になりやすく、逆に高

   いと、モチベーションが高まり学習能力が向上する

  ※イリシンをマウスの脳に注射すると学習性無力感や脅威を感じ

   ても体が動かない(=動じない)など、うつ病に関連する症状

   が減る

  ※イリシンの血中濃度が高いと、認知機能が向上、アルツハイ

   マー病などの神経変性病の予防につながることが分かっている

 

しかも、このレースに参加した人たちは、レース前からすでに一般の人に比べてイリシンの血中濃度がはるかに高く、レース中はもっと上昇していたといいます。

低体温症や極度の疲労状態の時、参加者のからだの中で脳の健康を維持し、うつ病を予防する物質が盛んに分泌されていたことになります。

 

実はイリシンは昨日ブログで書いた、マイオカインの一種なのです。

筋肉を動かすことによって、筋肉から分泌されるホルモン=マイオカインは、その特性から「運動ホルモン」とも呼ばれています。

 

ユーコン・アークテック・ウルトラの参加者は最大で15時間/日動き続け、また、寒さによる震え(=生理的振戦)でも血液中にイリシンが分泌されることから、イリシンが通常レベルをはるかに超えた量になったようです。

 

さて、頭の健康(=心の健康)にも体脂肪燃焼にも効果的なイリシン、「ウルトラ」と名前がつくようなレースに参加したり、参加できるような体力をつけないと分泌させることができないのでしょうか。

 

イリシンを分泌させる

 どうやったらイリシンを分泌できるか、運動強度や量が増えるとどうなるか、運動後どうなっているか、についてすでに研究されています。

 

どうやったらイリシンを分泌できるか?

ケリー氏は文中で

 ここで重要なのは、こうした脳内化学物質が血液中に分泌されるには、何もウルトラマラソンを走る必要はないことだ。筋収縮を伴う動きなら何であれーすなわち、ありとあらゆる動きによって、有益なマイオカインが分泌されるのだ。

と述べています。

 

ということは高齢者が椅子に座ってエクササイズをしたり、散歩したり、

また、ジョギングやウォーキングは苦手で筋トレを主に行っている方でもイリシンを分泌できるということになります。

 

研究によると、トレッドミルを1回走るだけで、血液中のイリシン濃度は35%も上昇するといいます。

 

運動強度が上がるとどうなる

 ユーコン・アークテック・ウルトラの調査でもわかったように筋肉の活動が高まると分泌量は合わせて増えていくようです。

日頃運動している人が、スピードを上げたり、強度を高くして、距離や練習量を増やしていくとさらに大量にイリシンを含むマイオカインが分泌されることが分かっています。

 

私は今まで、体力づくりを「体力を高めていくため、少しずつ強度を上げていきましょう!」とアドバイスを繰り返してきました。

今回、この本の情報で、筋肉が分泌する「マイオカインをー脳を元気に保ってくれる!ーたくさん出すため」というアドバイスもできるようになりました。

高齢者に必須の運動でも、骨粗しょう症、転倒予防、骨折予防ーもちろん大切ですがーもですが、うつや認知症予防にもかなり効果的と思われます。

 

運動後は…

ある実験では、

参加者が疲れ果てるまで走った場合、走っている場合の血中イリシン濃度が上昇したのはもちろん、走り終わった後でも、上昇したままだったことが分かっています。

 

持論 

「疲れ果てるまで」というのが気になりますが、運動では、習慣化ができたら、次に、「少しきついところまで」取り組む必要がありそうです。

これは持論ですが、

運動未経験者が、運動初期に「少しきついところ」をやってしまうと、激しい筋肉痛などにより、「続けてみよう」というモチベーションを保てないことが多いようです。

 

運動未経験者の場合、「明日(次回)が楽しみ」となるくらいの強度から始め、習慣化を待ちます。

習慣化できた時点で、体力も上がっているはずですが、疲労回復能力も同時に上がっています。

疲労回復能力が上がっているところで「少しきついこと」「または(その場で)くたびれること」をやってもほとんど翌日に疲れが残りません。それを繰り返していくと、いつの間にか筋力が高まっていたり、走るスピードが上がっていたり、距離が伸びていたり、いわゆる体力が自然に上がっていきます。

今回話題に出しているマイオカインの1つ、イリシンは強度が上がっていくごとに分泌量が増えて、頭の健康度が上がっていきます。

当然、トレーニング量や強度が増えていきますから、体脂肪は減っていくはずです。

 

 

生活に運動を上手に取り入れて、心やカラダの健康を保ちましょう。

自分のレベルに合わせて行えるよう、ジムに通っている方はトレーニングインストラクターに積極的に相談して、自分に合った運動を手に入れてください。 

 

続きはまた明日。