運動と音楽 2
脳は、本能として音楽を楽しむような仕組みを持っているというのはよくわかる気がします。
ラジオやテレビ、YouTube、コンビニ、スマホの呼び出し音、ゲームのBGM、映画のBGM、スーパー、ショッピングモール…あらゆるところで音楽が聞こえてきます。
聴いたことがある曲が流れると、「あ、この曲知ってる」と思わず微笑んでしまいます。
通勤時にお気に入りのアーティストの歌や音楽を聴いている人は多いと思います。
もくじ
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音楽の強壮剤効果
ケリー・マクゴニガル氏の著書
で以下のような記述があります。
1863年7月と言いますから150年以上前の話です。
マサチューセッツ第22歩兵連隊H中隊のロバート・ゴールスウェイト・カーター二等兵の記録で、
とあり、
- 連隊が機能不全になりかけたとき、姿は見えないが遠くから違う連隊の太鼓とラッパ演奏が聞こえ始めた
- 足を痛めた兵士、股ずれでまともに歩けない兵士、精魂つき果てて崩れ落ちそうな兵士たちは、新たな勇気が沸き起こり、野営地を目指して再度行進し始めた
- 日に焼けた満身創痍の兵士たちを奮い立たせた音楽の力は偉大だった
と書かれてあるというのです。
音楽学者によると
・音楽によって脳が刺激を受ける
⇩
・アドレナリン、ドーパミン、エンドルフィンが大量に分泌される
⇩
・活力が出て、痛みが緩和される
と考えられていて、「音楽には強壮剤の様なパフォーマンス向上効果があると考えている」
とケリー氏は説明しています。
小学校の運動会の開会式前から運動場で流れていた行進曲で何とも言えない興奮を覚えたのを思い出します。
いまだに、運動会の行進曲を聴くと、心拍数がいくらか上がる気がします。おそらく死ぬまで、無くならない感覚なのではないでしょうか。
農場での労働
アメリカメイン州ベルファストの農場の労働者は、種まきやニンニクの皮をむくときにみんなでよく歌を歌うそうです。
- 「脳や体が、そのうち自然と歌を求めるんです。」
- 「労働歌を歌い始めるとすぐに変化が起こります。筋肉感じが変わって、まるで鎮痛剤を飲んだかのように痛みが消えるんですよ。仕事に精が出て汗をかき始めます。気が付けばペースも早くなっているんです。」
- 「高揚感に包まれていると時間の感覚がなくなって、何分経ったかわからなくなります。」
というのが労働者の声です。
日本でも、漁の際、田植え、草刈などでの歌を聴いたことがあります。いずれもカラダを動かしながら歌って、仕事のテンポを速めたり、つらい動作を軽減していたのではないでしょうか。
私は農家の生まれですが、私の実家では労働の際に歌を歌うことはありませんでしたが、山道を歩いて仕事場に行く際には、母が鼻歌を歌って登っていたことを思い出します。
また、
ナイフで鉛筆の削り方を教えてくれたおじさんは、歌を歌いながら削り方を見せてくれました。すごく新鮮でした。同じように歌いながら削れるようになりたくて、リズミカルに鉛筆が削れるようになるまで、無駄に削っていたことがありました。
鉛筆削りがなかったころ、削るのが面倒で兄や父に頼んでいたのが、自分で削りたくなるきっかけをおじさんが、そして歌が(音楽が)つくってくれたと思っています。
鉛筆削りは体全体を使う運動ではありませんが、自分の歌うリズムに合わせて動作することに楽しさを感じるのは、脳の持つ本能によるものだと、いまさらながら気づきました。
実験
糖尿病と高血圧の症状を持つ中年の患者が対象の実験が行われました。
心臓の強度や持久力を測定するための、心血管ストレステストを実施しました。
内容
⇩結果
- 音楽無し:ほどんどの人は6分で息切れを起こし、8分以内にギブアップした
- アップテンポの曲を聴きながら走った:平均で51秒長く持ちこたえた
⇩
- 患者の心臓の能力を音楽が引き挙げた
という結果が出ています。
アスリート
また、アスリートを対象にした実験でも、音楽をかけた場合、ボート選手や短距離走者や水泳選手たちが、タイムを縮める結果が出ているそうです。
この本でケリー氏は
また、ランナーたちは極度の暑さや湿度により長く耐え、トライアスロン選手たちは疲労の限界に達するまでの距離を延ばすことができた。アスリートたちが全力を出すときに音楽に合わせてカラダを動かすと、まるで歌から必要なエネルギーが供給されるかのように、酸素を効率よく消費することができるのだ
と述べています。
行進曲の流れる運動会本番で速く走れたり、
バレーボールやバスケットボールの試合会場でのリズミカルな応援で集中力が増したり、けがの痛みを感じにくかったり、
するのも、脳への影響力を持つ音楽の効用だと思われます。
記録を狙うアスリートはもとより、
ランナーズハイを感じられる少しきつめの運動にチャレンジしようとするフィットネス愛好家に人にとっては、音楽ー特にアップテンポな曲ーは、きつさを軽減してくれる、もしくは、さらにきついところにチャレンジさせてくれる良いツールのようです。
一人で運動にチャレンジしている人は音楽を積極的に活用してみましょう。
ではまた明日。