コルチゾールって?デヒドロエピアンドロステロンって?
さて、昨日のブログの実験結果に入る前に、
- コルチゾール
- デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
を少しだけ勉強しましょう。といっても、このブログを読む間だけ理解できればいいと思います。
私も深くは知りません。コルチゾールは読み聞きしたことがありましたが、名称だけ覚えていました。デヒドロ…は、この本
を読んで初めて知った名称(だと思う)です。
もちろん私もこの場で勉強します。
では早速進めていきます。
もくじ
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この2つの物質は、ストレスを判定するホルモンです。体内で分泌されますが、唾液からその分泌状況が判定できます。
そして、このふたつのストレスホルモンは両方ともストレスを感じた時副腎から分泌されます。
コルチゾール
DHEAと同じ副腎から分泌されますが、働きが違っています。
コルチゾールというホルモンは
という働きを持っています。
これに対し、
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
なんとも長い名前です。系統付けて名前がつけてあると思うので、専門分野の方から見たらどんな物質かよくわかるのでしょうが…。
このホルモンは
- 脳の成長を助ける男性ホルモン
- ストレスの経験を通じて脳が成長するのを助ける
- コルチゾールの作用を抑制し創傷の治癒を早める
- 免疫機能を高める
※創傷(そうしょう)=「創にきずあり、傷にきずなし」といわれるように、創傷の定義では「創」は))皮膚の破綻を伴う損傷を指し、「傷」は皮膚の破綻を伴わない損傷を指す。皮膚表面の損傷部分の、表面を創面(そうめん)と呼び、日常語では傷口(きずぐち)という。創の周辺部を、創縁(そうえん)と呼ぶ。創の底部、深い部分を創底(そうてい)と呼ぶ。銃創や、刺創(しそう)の様に、一般的に総面積が狭く、深い創の場合、創の表面を創口(そうこう)と呼称する。ウィキペディアより)
これだけの情報だと、どちらも健康に害があるようには思えません。
ところが、ストレスが長期化する=慢性のストレスを抱えていると事情が変わってくるようです。
コルチゾールとDHEAはどちらもストレスがかかった時には副腎から分泌されるわけですが、この2つのホルモンが長期的に分泌された場合、その割合でカラダが受ける影響は変わってくるようです。
慢性のストレスの場合、
DHEAに比べてコルチゾールの割合が継続して高いと(=コルチゾール>DHEA)
- 免疫機能の低下
- うつ症状が出やすい
コルチゾールは消化や生殖や成長を抑える働きを持っていますから、慢性的に抑えっぱなしにするとこういう症状が出やすいということでしょう。
逆に、
コルチゾールに比べてDHEAの割合が継続して高いと(=コルチゾール<DHEA)
- 不安症、うつ病、心臓病、神経変性などストレスに関連する様々な病気のリスクが低下する傾向がある
ということです。DHEAにはコルチゾールの作用を抑える働きがあるとのことですから、これも納得できます。
さらに、 ここでまたまた、新しい言葉が出てきます。
成長指数
という言葉です。
コルチゾールに対するDHEAの割合はストレス反応の「成長指数」と呼ばれているようです。
成長指数が高い(=コルチゾール<DHEAの状態)とストレスに負けずに頑張れるとのこと。
この成長指数についてケリー氏は例を挙げて説明しています。
成長指数が高いと
- 大学生なら、努力をいとわず粘り強く勉強できる。成績平均点が高い。
- 軍隊のサバイバル訓練では、集中力が高く、問題解決能力に優れ、訓練終了後も心的外傷後ストレスの症状が出にくい傾向がある。
- さらに成長指数が高い人は、児童虐待から立ち直るなど、極めて過酷な経験からも回復する傾向がある。
と述べています。「成長指数」と名付けられているのもなんとなく理解できます。
ここまで理解できると、昨日紹介した実験結果が理解しやすくなります。
そして実験結果
さて、ストレスに対する肯定的なビデオ、否定的なビデオを模擬面接前に見た学生たちは面接を受けたとき、このふたつのホルモンーコルチゾール、DHEAの分泌に差が現れたでしょうか。
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⬇︎ビデオを見た直後
第1グループ(ストレスを肯定的に解説したビデオを見たグループ)、第2グループ(ストレスを否定的に解説したビデオを見たグループ)共に、ビデオを見た直後にはコルチゾールの変化はなかった。
⬇︎模擬面接後
- 第1グループと第2グループともにストレスホルモン=コルチゾールの分泌が増加した
- 第1グループは第2グループよりDHEAの分泌が多かった(=成長指数が高かった)
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興味深いですね。「ストレスはカラダに良い」と考えるだけで、人間の生理機能が良い方向に変化する。心や考え方を変えるだけで、カラダの中の生理的な反応が変わってしまうわけです。
末期癌の人の癌がなくなってしまうといった話を聞いたことがあります。死を悟ることで、大きく生理機能が変化するようなマインドセットが起きたための変化なのかもしれません。近い将来、重い病気などの治療に薬や放射線などと合わせて、心理学的な治療が行われる日が来るかもしれないと想像しました。
きっと運動でも同じようなことが起きているはずです。
嫌々ながら運動すると、コルチゾールが優位の状態になる可能性があります。
「運動はストレス」と感じている人もストレスは必ずしもカラダに悪いわけではないと考えると体を健康に保つホルモンが優位の成長指数が高い状態に変わるはず。
効果に影響を与える要因の一つは運動をどう捉えるかという、考え方にあるのではないかと私は考えています。
続きはまた、明日。